上尾の摘田・畑作用具
国指定重要有形民俗文化財
(ふりがな) あげおのつみた・はたさくようぐ
【文化財名】 上尾の摘田・畑作用具
【種別】 民俗文化財・有形民俗文化財
【員数】 750点 (内 摘田用具 405点・畑作用具 345点)
【指定年月日】 令和3年3月11日
【所在地】 上尾市教育委員会
摘田・畑作用具
【概要】
上尾市のほぼ全域は、関東平野の中で島状に発達した大宮台地に位置しています。台地上の農業は畑作が中心で、主要作物は秋から春にかけて栽培される大麦・小麦で、他に、春から秋にかけてサツマイモ、陸稲、大豆などが栽培されていました。
このように畑中心の上尾市域で行われた稲作の特徴であったのが、摘田とよばれる直播きの栽培方法です。この方法は、圃場が台地上に位置し、用排水路の整備が困難なため、台地の辺縁部にある低湿地で稲作を行わざるを得ないという地形的理由と、主要作物であった麦・小麦の収穫時期と田植えの時期が重なることから、この時期の労働力の分散を図るため、直播きの摘田を行ったという人的理由から成立したものでした。
田植えによる稲作である植田が稲の栽培法として一般的に知られていますが、明治時代までは直播きの栽培も広く行われており、摘田も日本在来の稲作栽培法と考えられます。ただし、水田開発や農業技術の進歩によって、摘田はすでに消滅しています。そうした中で、昭和40年代と、比較的遅くまで摘田が行われていた上尾市域では、用具の残存度が高く、農業の基盤であった畑作の用具とともにまとまって収集されています。
本文化財は、台地上の農業経営や畑作地域における稲作の地域的な様相を知ることができるコレクションであり、我が国の稲栽培や農耕文化の変遷を理解する上で重要であると評価され、重要有形民俗文化財として指定されました。
上尾の摘田・畑作用具 資料一覧
上尾の摘田・畑作用具総括一覧表 [PDFファイル/116KB]
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