議第25号議案
高速道路原則無料化に反対する意見書
政府がマニフェストに掲げた、高速道路を原則無料化については、(1)流通コストの引き下げ (2)地域経済の活性化 (3)渋滞などの経済的損失を軽減することを政策目的とし、大都市以外の高速道路は3年以内に無料としている。道路公団民営化に伴い2005年に独立行政法人として発足した「日本高速道路保有・債務返済機構」を2012年4月にも廃止して全高速道路を国有化し、保有・返済機構が旧日本道路公団から引き継いだ約37兆円の債務のうち、2008年度末現在で約31兆円ある未返済分は国が継承、低利の長期国債に順次借り換え、60年間で償還すると言う現政府方針だが、これは現在の高速道路負担を長期の国の借金に置き換えるだけで、最終的には高速道路を使わない国民も含め税負担で返済することに他ならない。
債務の返済方法に加え、無料化に伴い本年11月4日の読売新聞社説においても、JR各社は、旅客6社あわせて年間750億円の減収とみており、高速道路と平行する路線が多い、JR北海道・四国の影響は特に深刻で廃線が相次ぐ可能性が高いという。またバス業界は高速及び路線バスの減便や廃止・フェリー業界では倒産や人減らしが相次いでいるなど、地方公共交通が衰退すれば「交通弱者」は暮らしの足を失い、政府が強調する経済活性化についても、地方の客が都心に流れる「ストロー現象」が進み、かえって地方経済が衰退するという指摘が多いと述べており、朝日新聞社がこの8月行った全国世論調査でも「高速道路無料化を評価しない」が67%に達しており、欧米では高速道路を有料化にし、今まで無料であったドイツのアウトバーンも有料化・アメリカでも高速鉄道計画を進めるなど、今や政府が進める「高速道路無料化」政策は高速道路に関係する係員の再雇用問題・交通量増加によるCO2への影響など、社会や経済に与える影響は図り知れない。
よって、国及び政府においては、「高速道路無料化」については世界の流れに逆行する政策であると考えられ、高速道路の概念である「高速道路は移動時間を短縮する受益者が負担する」ことに立ち返り、はじめに無料化ありきではなく、総合的な交通政策の在り方を求め、道路の整備方針や料金体系などを見直すことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
平成21年12月18日
上尾市議会
平成21年12月18日
提出者 上尾市議会議員 嶋田 一孝
賛成者 上尾市議会議員 道下 文男
賛成者 上尾市議会議員 田中元三郎