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議第27号議案

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年9月24日更新 ページID:0002359

独立行政法人都市再生機構が2009年4月の家賃値上げを行わないことを求める意見書

 独立行政法人都市再生機構(以下、「都市機構」という。)は、約77万戸のUR賃貸住宅(以下、「公団住宅」という。)を管理しているが、継続して居住している者に適用している家賃(以下、「継続家賃」という。)について、自らの 「改定ルール」により、3年周期で改定を実施してきている。そして、この「改定ルール」により都市機構は来年(2009年)4月1日に継続家賃の改定を行うとして、都市機構内に設けた経営基本問題懇談会家賃部会で諮問・検討を進めている。
 継続家賃改定の理由について都市機構は、家賃は近傍同種の住宅の家賃を基準として決定する、いわゆる市場家賃を基本としており、「近傍同種家賃は、そのときどきの市場動向によって変動するので、この変動を継続家賃に適切に反映することにより市場家賃との均衡を図ると共に、UR賃貸住宅居住者間あるいは民間賃貸住宅居住者との間に不公平が生じることのないようにするため」としている。
 しかし、このような理由での家賃改定・値上げは、高齢化と年金生活世帯の急速な進行と収入低下という公団住宅居住者の現実からして、まったくそぐわないものになっている。
 本市内には、都市機構の賃貸住宅が5団地9,596戸あり、多くの市民が生活しているが、2005年に全国公団住宅自治会協議会(以下、「全国自治協」という。原市・尾山台・西上尾第一団地自治会が加盟)の調査によれば、市内の3団地では、世帯主年齢60歳以上の世帯が60.3%であり、年収446万円以下の第1分位世帯が72.2%(260万円以下は39.4%)、446万円から589万円の第2分位世帯が11.0%で、公営住宅入居階層に相当する第1分位及び第2分位の世帯が合計83.2%を占めており、全国平均を上回っている。(全国223団地のアンケート調査:全居住者中60歳以上の世帯主が55.3%、年収446万円未満(第1分位)世帯が67.5%で、「年金が収入の中心」世帯が32%)
 公団居住者の高齢化と所得水準の低下等が一段と顕著になっていることに関しては、都市機構も居住者定期調査(2005年)により、「65歳以上を含む世帯が33.2%と高齢化が進んでいる」、「メインストックの43万戸では世帯収入400万円未満の世帯が半数以上(約53%)を占めている」と発表、国土交通大臣はこのことを昨年秋の国会審議などでくり返し説明し、「居住者の居住の安定」の必要性を強調した。
 それにもかかわらず都市機構は、当初の公団住宅の入居対象である「中堅所得層」に固執し、公団住宅の家賃を市場家賃にまで引き上げるため、3年ごとの値上げを繰り返そうとしている。
 都市機構法案に対する衆議院附帯決議(2003年5月14日)は、「都市機構は、賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう家賃制度や家賃改定ルールに対する十分な配慮に努めること。特に、低所得の高齢者等に対する家賃の減免については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること」と求めている。また、2007年7月には、低所得者、高齢者等の居住の安定を図るため「住宅セーフティネット法」が成立し、公団住宅も住宅セーフティネットを担う公的賃貸住宅として位置づけられた。
 このような最近の公団住宅居住者の実態、それを視野に入れた国会での要請や住宅法制における位置づけにもかかわらず、都市機構は、中堅所得世帯を施策対象とした都市機構の前身・都市基盤整備公団の市場家賃制度や「改定ルール」をそのまま引き継ぎ、変更することなく継続家賃の3年ごとの改定実施に固執している。
 諸物価の値上がり、医療費や介護保険料の負担増などにより、居住者の暮らしは厳しさを増している。そのうえに公団住宅の家賃が値上げされると、いっそうの生活不安をもたらす。住まいは健康で文化的な家庭生活を営む場であり、居住者が生活不安を抱かないよう、万全の措置を講じることが不可欠である。
 よって、国及び政府においては、下記の事項を実現するよう強く要望する。
          

1 都市機構賃貸住宅居住者の生活実態に鑑み、2009年4月の継続居住者の家賃改定に際し、家賃の値上げは行わないこと
2 高齢者等への家賃減免措置を拡充し、子育て世帯に対する居住支援措置をとること
3 都市機構賃貸住宅の高家賃を引き下げ、空家をなくすこと
4 家賃制度と「改定ルール」について、居住者の収入に応じ負担能力を考慮する方式に改善すること
5 政府と都市機構は、独立行政法人都市再生機構法案に対する衆参両院の附帯決議事項を実行し、高齢化と収入低下が著しい居住者の居住の安定を図るための万全の措置を講じること

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成20年9月24日

上尾市議会

平成20年9月24日

提出者 上尾市議会議員 矢 部 勝巳 
賛成者 上尾市議会議員 道下 文男
賛成者 上尾市議会議員 秋山 もえ
賛成者 上尾市議会議員 遠藤 朝子
賛成者 上尾市議会議員 佐野 昭夫