議第27号議案
市発注の公共工事等における労働者の適正な賃金・労働条件の確保を求める決議
この5年間で建設就業者は全国で91万3千人、埼玉県内でも3万人減少していることが2005年国勢調査で明らかになった。これは「いざなぎ景気」を超えたと言われつつも不況による民間工事の減少と公共工事削減政策が大きく影響しているものと思われ、建設投資の落ち込みは、過度のダンピング競争により建築物の品質を保つことが困難な状況に陥っている。
また、埼玉県内の建設労働者を対象とした賃金実態調査では、全職種の平均賃金は14,466円と昨年より下落、5人に1人は1日1万円~1万2千円台と景気回復とは遠い実態が明らかになった。
建設産業で働く労働者の賃金・単価の現状は、元請によるダンピング受注や指値発注により下請け業者の経営が圧迫され、末端で働く者が生計を立てられないなど事態は深刻化している。このような状況が続けば、若年技能士の確保も危うく建設業全体の疲弊が危惧されることから、建設業界の健全な発展のためには適正なルール(環境への配慮・障害者や高齢者の雇用等の福祉・男女共同参画の推進・公正労働基準の充足等、社会的価値の実現を総合的に判断する政策入札の導入など)に基づいた受注競争が行える環境づくりが不可欠である。
よって市は、市発注の工事について、最低でも、公共工事設計労務単価を元に積算された労務経費が当該工事に従事する下請事業所の労働者等に賃金として確保されるような条例や基本指針の策定など入札・契約制度について従来にない大きな取り組みを検討するよう求めるものである。
平成19年9月21日
上尾市議会
平成19年9月21日
提出者 上尾市議会議員 児玉 晋
賛成者 上尾市議会議員 糟谷 珠紀
賛成者 上尾市議会議員 遠藤 朝子