議第2号議案
食品ロス削減への国民運動の更なる推進を求める意見書
食品ロス削減推進法が2019年10月1日に施行され、食品ロス削減に関する普及・啓発が進められてきた。一方で、農林水産省が公表した2021年度の食品ロス量は523万トンで、その内訳は事業系食品ロス量が279万トン、家庭系食品ロス量が244万トンとなっている。
現在、世界で約8億人が飢餓に直面していると言われている中で、国連世界食糧計画(WFP)では、飢餓で苦しむ人々のために、年間480万トンの食料支援を行っており、日本における食品ロスとして、まだ食べられるのに捨てられてしまう食料が、その1.1倍以上となっているのが現状である。
また食品ロスの削減は、気候変動対策としても大変に重要であり、廃棄における直接的に生じる環境影響だけでなく、その生産過程で投入される天然資源やエネルギーの浪費、製造・加工・流通・卸・小売の各段階でのエネルギー消費など、環境に及ぼす影響は決して少なくはない。
よって、国及び政府においては、食品ロス削減推進法に基づき、誰もが取り組むことができる脱炭素アクションとして、食品ロス削減への国民運動の更なる推進のために、下記の事項について特段の取組を求める。
記
1 事業者と一体となったエシカル消費の普及促進
賞味期限や消費期限が近いものから選ぶ「てまえどり」など、エシカル消費の普及啓発を一層進めるとともに、食品ロス削減を積極的に進める事業者の評価や支援の強化を図ること。また、地域や事業者の食品ロスの計測・公表等の体制を拡充し、実効性を強化すること。
2 食品ロス削減につながる小分け提供等の拡大
環境に配慮した上で、食品のロスを防ぐための使用量や頻度に合わせた「小分け包装」や、食品自体の鮮度の保持や賞味期限等の延長につながる容器・包装の改善や工夫の促進、外食産業における「小分け提供」や「持ち帰り」など、「食べきり」を積極的に進めるための取組を一層強化すること。
3 在庫食品や未利用食品の寄付の普及拡大
食品ロス防止のため、子ども食堂・子ども宅食、フードバンク等へ、企業等からの在庫食品の寄付促進や、フードドライブ(未利用食品の寄付運動)等の利活用で、「もったいない」と「おすそわけ」の好循環をつくり、国民運動としての取組を一層強化すること。
4 コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)の設置支援
事業系の食品ロス削減と子ども食堂等への支援を行うために、企業・商店などから提供された食料品等を、地域に設置された冷蔵庫や冷凍庫で保管し、随時必要とされる住民や団体等に提供するコミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)の設置や運営等への支援制度を整備すること。
5 出荷や加工前に廃棄されている地域の食材の活用
食に関わる事業者と野菜等の生産者の連携を促し、色や形における規格外品や、食材の皮や芯や種など、出荷や加工前に廃棄されている地域の食材を、できる限り有効に活用する商品開発や消費の拡大などに取り組む地方自治体等の事業に対して積極的な支援を展開すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和6年3月19日
上 尾 市 議 会
令和6年3月19日
提出者 上尾市議会議員 島津 秋男
賛成者 上尾市議会議員 小池 佑弥
〃 〃 樋口 敦