議第1号議案
『集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)』の早期批准を求める意見書
令和6年3月11日に日本人で初めて国際刑事裁判所所長に選出された赤根智子裁判官は、産経新聞のインタビューに答える形で日本政府に対し、集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)批准のため、早期に国内法整備に取り組むよう訴えている。ジェノサイド条約は、第二次世界大戦において行われた集団殺害を二度と起こさないことを目的として、1948年に国際連合決議において全会一致で採択され、1951年に発効した条約であり、現在153か国が締約国となっている。
ロシアによるウクライナ侵攻や、パレスチナ・イスラエル紛争など、近年の国際紛争でもジェノサイドとされる行為は頻発しており、日本周辺でも令和5年5月に米国国務省が公表した年次報告書で、中国政府が新疆ウイグル自治区で「ジェノサイドと人道に対する罪」を続けていると指摘しているなど、特定の「国民的、人種的、民族的又は宗教的集団」への破壊行為であるジェノサイドを犯罪行為と明確に定義して防止及び処罰を行うことの重要性は言うまでもない。
その一方で、日本政府は「集団殺害の扇動」が国内法で処罰対象となっていないことなどを理由として、本条約を批准していない。超党派議員でつくる『人権外交を超党派で考える議員連盟』においても、批准に向けた具体的検討を求める声明が出されている通り、150国以上が締約するジェノサイド条約に日本が加入していないことは、国際的な発言力を維持する上でも問題があると言わざるを得ない。また、ジェノサイドを犯罪行為と定義して防止のための法整備を行うことは、我が国における同様の行為の発生を抑止し、市民の人権を守るという意味でも重要である。
よって、国及び政府においては、国内法の整備を進め、ジェノサイド条約を早期批准することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和6年3月19日
上 尾 市 議 会
令和6年3月19日
提出者 上尾市議会議員 海老原 直矢
賛成者 上尾市議会議員 稲村 久美子
〃 〃 平田 通子