議第16号議案
最低賃金の引き上げと格差是正の実現を求める意見書
中央最低賃金審議会は、7月28日、2023年度の最低賃金の引き上げについて、Aランクで41円、Bランクで40円、Cランクで39円とする目安を厚生労働大臣に答申した。これを受けて各地方審議会でも審議が進められ、加重平均で最低賃金は1,004円となった。しかし、最高額の東京都と最低額の地方とでは220円もの格差があり、納得できるものではない。東京都と隣接しAランクに位置付けられている埼玉県の最低賃金は、1,028円に引き上げられたが、東京都との格差は依然として85円となったままである。
政府の2021年経済財政諮問会議で、東京一極集中の是正や地方の最低賃金の底上げを通じた「地域経済活性化」が提言されているとおり、最低賃金の底上げと地域間格差の是正は喫緊の課題である。賃金水準が低いままではその地域の経済は発展しないし、賃金の水準が地域間で異なると交通が便利な日本では賃金の高い東京都に一極集中することになるのは当然のことである。このままでは、より賃金の高い仕事を求めて東京都に若者を中心とする労働者が出ていくことになる。それによって地方が衰退していくことへの懸念は拭えない。こうした事態を防ぐ意味でも、最低賃金の格差是正は、有効であるといえる。
この間のコロナ禍で明らかになったように、地方では人口減少と高齢化の進行で地方経済の衰退が続いている。地方経済を活性化させる手段として、個人消費の拡大につながる最低賃金の引き上げと格差の是正が求められている。
他方で、最低賃金の格差是正策をとった場合、地方の中小企業をはじめ雇用者がその負担に耐えられるかという点は、解決すべき重要な課題である。事業者に対しては長期的な展望をもって安定かつ継続的な支援策が必要である。
よって、国及び政府においては、最低賃金の引き上げと地域格差の是正を実現するための対策を講ずるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年12月25日
上 尾 市 議 会
令和5年12月25日
提出者 上尾市議会議員 池田 達生
賛成者 上尾市議会議員 戸口 佐一
〃 〃 平田 通子