議第1号議案
生活保護基準見直しの慎重なる対応を求める意見書
生活保護受給者は、長引く景気の低迷や雇用情勢の悪化、高齢社会の進展などにより、214万人を超え、過去最多を更新するなど、全国的に急増している。
リーマンショックに端を発した急激な景気の後退は雇用情勢の悪化を招き、一時的に生活保護に頼らざるを得ないケースも多くなっているため、生活保護費の増加は、地方自治体の一般会計を圧迫している。
そのような中、政府は生活保護基準を引き下げ、3年間で生活保護費を740億円減額することを決めた。一部で見られる低所得世帯と生活保護世帯の逆転現象の解消は必要である。ただし、原因の分析、最低賃金の引き上げや低所得者支援の強化が必要であり、生活保護基準の引き下げは慎重に検討すべきである。それは、真に援助が必要な受給者への給付が削減されるおそれがあるだけでなく、低所得者全体への影響が大変大きいからである。
生活保護基準は、ナショナルミニマムとして最低賃金や住民税非課税限度額とも連動しているため、基準額が引き下がれば、これまで非課税だった低所得者にも課税されることになり、このことは、保育料、国民健康保険税、介護保険料の基準にも影響し、負担が増加する人が生まれるとともに、就学援助が打ち切られ、多数の子育て世代にも影響する。
よって国および政府においては、これらの影響や実態把握を行った上で他の制度に影響が及ばないよう対応するとともに、不正受給対策の徹底・生活困窮者の自立、医療扶助の適正化、就労支援の大幅強化、ケースワーカーの増員など、生活保護をめぐる諸課題に速やかに取り組むことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年3月21日
上尾市議会
平成25年3月21日
提出者 上尾市議会議員 秋山 もえ
賛成者 上尾市議会議員 井上 茂
〃 〃 浦和 三郎