議第21号議案
性犯罪に関する刑法の更なる改正を求める意見書
性犯罪は被害者の人格や尊厳を著しく侵害し、長年にわたり心身に重大な苦痛を与え続ける「魂の殺人」といわれる深刻な犯罪である。しかし、日本では性犯罪はとても軽く扱われ、明治時代(1907年)に制定された刑法が2017年の改正まで大筋では変わることなくそのまま踏襲されてきた。性犯罪・性暴力の根絶に向けた社会的気運が高まる中、2017年6月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法の改正案が国会で可決され、同年7月に施行された。強姦罪が強制性交等罪に名称変更され、懲役の下限が3年から5年に引き上げられるとともに、これまで親告罪であったものが非親告罪となるなど、画期的な改正となった。
ただし、強制性交等の罪の成立要件として、暴行、脅迫を伴うことが必要とされるなど、改正の内容が不十分であるとの議論があったため、施行3年後の見直し規定が盛り込まれた。こうした刑法改正により、改正前より多くの事例が犯罪と認定されるようになったものの、被害者の明確な抵抗が明らかでない限り加害者を罪に問えないため、加害者側が無罪となる例が相次いだことなどから、改めて改正刑法の内容が社会問題化している。
当然、被害者は明確な形で抵抗できない場合もあるため、多くの先進諸国では、同意のない性交は全てレイプとして刑事罰の対象とするなど、被害者の視点に立った性犯罪の定義規定の改正が行われている。「誰一人取り残さない」を基本理念としているSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進める観点からも、性犯罪に関する取り組みをさらに充実させることが求められる。
よって、国及び政府においては、被害者の視点に立ったより良い制度を実現するため、国際的な人権基準を反映した、性犯罪に関する刑法改正の議論の充実とともに、次の事項について見直しをされるよう強く要望する。
記
1 強制性交等の罪における暴行、脅迫ならびに準強制わいせつ及び準強制性交等の罪における心神喪失などの要件の見直しについて検討すること
2 監護者わいせつ及び監護者性交等の罪の適用年齢の拡大について検討すること
3 性交同意年齢を引き上げること
4 公訴時効期間の撤廃を含めた見直しを行うこと
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
令和2年12月21日
上 尾 市 議 会
令和2年12月21日
提出者 上尾市議会議員 浦和 三郎
賛成者 上尾市議会議員 矢口 豊人
〃 〃 平田 通子