埼玉県プラスチック資源化実証事業に参加しました。
上尾市は、伊奈町とのごみ処理の広域化に伴う新たな分別および「プラスチック資源循環促進法」の施行など、プラスチックの資源化を推進するため、伊奈町とともに、埼玉県のプラスチック資源化実証事業に参加しました。
実証事業の参加に至る経緯
上尾市の現状
上尾市においては、以前はプラスチックを分別しておりましたが、平成10年3月に、現在の西貝塚環境センターの稼働開始に伴い、プラスチックは可燃ごみに混合されることとなりました。そして現在も、プラスチック類は、ペットボトルを除き、可燃ごみとなっております。
分別における市民の負担は少ないものの、平成29年の可燃ごみ処理施設の故障に伴う、他自治体への処理協力依頼において、プラスチックが分別されていないことから、他自治体での受け入れ調整が難航したこともありました。
上尾・伊奈広域ごみ処理基本計画
上尾市は、長年の課題であった伊奈町とごみ処理の広域化を進めるため、平成30年6月に「上尾市伊奈町ごみ処理広域化の推進に関する基本合意書」を締結しました。
そしてその広域化の方針を定める「上尾・伊奈広域ごみ処理基本計画」の策定において、広域化の課題となっていた「ごみの分別区分の統合」を図るべく、有識者や両市町の住民などで構成される「上尾・伊奈ごみ処理広域化検討会議」を設置し、広域化に伴うごみの分別・収集について、全7回の会議で検討を進め、以下のとおり、分別体制の統一案を整理しました。
この統一案では、プラスチックのうち、ペットボトルのキャップ・ラベル、食品包装用ラップ・フィルム、食品トレーなどの「プラスチック製容器包装」を、分別して資源化することとしました。また、「プラスチック製容器包装」に該当しない、プラスチック製ハンガー、バケツ、ストローなどの「プラスチック製品」についても、新たに施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」を踏まえて、柔軟に対応していくとしました。
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)
令和4年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」は、海洋プラスチックや地球温暖化など、地球規模の問題となっているプラスチックを、その製品設計から販売、廃棄物の処理という全過程で、資源循環を推進するための法律です。
これまで「プラスチック製容器包装」は、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」に基づき、分別収集、資源化が進められてきましたが、それ以外の「プラスチック製品」は、多くの自治体で可燃ごみとして処理されています。
このように、同じプラスチックでも一方は資源物、もう一方は可燃ごみという分かりにくい状況にあったため、わかりやすい分別ルールにして、プラスチック資源の回収量の拡大を目指し、「プラスチック製品」についても資源化することになりました。
具体的には、市区町村は、「プラスチック製品」の分別基準を策定し、その基準に従い、適正に分別して排出されるように市民の皆様に周知するよう努めなければならないこととなっています。
また、同法の施行に伴い、ごみ処理施設の整備などで活用されている環境省の交付金「循環型社会形成推進交付金」においても、プラスチックの分別・資源化が交付要件となっており、本市においては伊奈町との広域化よる新たなごみ処理施設を整備するため、プラスチックの分別・資源化は避けて通れない道となっております。
実証事業
上記のことから、上尾市においてもプラスチックを資源化する新しい分別を検討するため、埼玉県のプラスチック資源化実証事業に参加しました。
当事業では、過去の事例で行われていたような、公共施設などの拠点においてプラスチックを回収するのではなく、実際に、二地域の住民の皆様に御協力いただき、その集積所においてプラスチックの回収を行いました。
対象地域
自治会名 | 住宅 | 世帯数 | 平均年齢 | 集積所数 | 排出 | 回収 | 実施期間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
西貝塚自治会 | 戸建て住宅 | 41世帯※1 | 55.7歳※2 | 4か所 | 月・木 | 金 | 11/2~12/22 |
シティタワー上尾駅前自治会 | マンション | 48世帯※3 | 45.02歳※2 | 4か所 | 随時※4 | 木 | 12/7~21 |
※1 上尾市事務区別人口表(上尾市総務課作成)より。
※2 事務区別年齢別人口統計表(上尾市総務課作成)より。
※3 マンション全体では、4階から28階まで297世帯あるが、そのうち一部の階層の住民に協力いただいた。
※4 マンション各階にいつでもごみ出しができるスペースがあるため、曜日を気にせずごみを排出することができる。
収集対象物
- プラスチック製容器包装
プラマークがついているもの
例)ペットボトルのキャップ・ラベル、食品トレー、食品の袋等、プラマークのついている発泡スチロール
- プラスチック製品
例)バケツ、スプーン、CD、DVD、CDケース、ざる、書類スタンド、プランター、ハンガー、洗濯ばさみ、ごみ箱、ゴムホース、おもちゃ(電池不用なもの) - 収集できないもの(不適合物)
- 汚れが付いたもの
- ペットボトル
- プラスチックを含まないもの
- 粗大ごみのサイズとなるもの(60cm×30cm×30cmを超えるもの)
- 金属以外の素材とプラの複合製品
- 小型家電の対象品(デジタルカメラ、携帯電話、電気カミソリなど)
- 家電リサイクル法の対象品
回収量
自治会 |
収集 |
総量 |
容器包装 |
製品 |
不適合物 |
||||
kg |
% |
kg |
% |
kg |
% |
||||
西貝塚自治会(11月) |
4 |
42 |
28.18 |
67.1 |
5.29 |
12.6 |
8.53 |
20.3 |
|
西貝塚自治会(12月) |
3 |
27.44 |
17.05 |
62.1 |
5.53 |
20.2 |
4.86 |
17.7 |
|
シティタワー上尾駅前自治会 |
3 |
19.62 |
9.43 |
48.1 |
8.87 |
45.2 |
1.32 |
6.7 |
|
合計 |
10 |
89.06 |
54.66 |
61.4 |
19.69 |
22.1 |
14.71 |
16.5 |
総括
二自治会において回収を行った結果、西貝塚自治会では「プラスチック製容器包装」の割合は60%、「製品プラスチック」の割合は20%程度と、大きく差がありました。対して、シティタワー上尾駅前自治会においては、「プラスチック製容器包装」と「製品プラスチック」の割合に差はほとんどありませんでした。
不適合物については、7~20%程度の発生しており、いかに不適合物の量を減らすことができるか、住民に対する周知が大きな課題だと分かりました。
実証事業の写真
回収されたプラスチックの一部 プラスチックの選別作業
選別したプラスチックの測量作業 プラスチックの一部(ボトル類)
プラスチックの一部(色付き食品トレー・パック類) プラスチックの一部(透明食品トレー・パック類)
プラスチックの一部(プラスチック製品) プラスチックの一部(白色食品トレー)
不適合物(汚れたもの、その他のごみ) 不適合(ピックアップしたもの)
回収物の資源化
今回、回収したプラスチックの一部は、埼玉県内のプラスチックの資源化事業者に搬送し、プラスチックペレットなどに資源化していただきました。
一般的には再生したペレットは次のように再生プラスチック製品に生まれ変わります。
ごみの分別スケジュール
上尾市は伊奈町とのごみ処理の広域化に伴い、ごみの分別を新たにします。
分別については、上尾市廃棄物減量等推進審議会に諮り、慎重審議のうえ決定いたします。
※以下のスケジュールは、令和4年7月の広報あげおに掲載したものと同じものです。