上尾市で暮らす・働く外国人
上尾市の外国人市民は増加を続けています。日本の少子高齢化が進むにつれ、担い手不足の懸念が高まっています。上尾市にも担い手として働き、地域の一員として暮らしている方々が大勢います。
ここでは上尾市で暮らしている、または働いている外国人を紹介します。
らぽーる上尾
介護付有料老人ホームらぽーる上尾(上尾市地頭方422)で実習を行っているベトナム人技能実習生4名を紹介します。
技能実習制度とは
技能実習とは、外国籍の方が日本で暮らすときに必要になる在留資格のひとつで、日本で技術を学び、その技術を母国に持ち帰ることを目的にしています。農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣類関係、機械・金属関係などの業種で技能実習が行われています。技能実習の在留資格を持つ外国人は日本全国で約40万人(2020年6月時点)、上尾市には474人(2020年10月時点)の技能実習生が暮らしています。
チャン ティ イエンさん
ベトナム タインホア省出身
2019年8月来日
来日する前は何をしていましたか?
イエン:タイビン医科薬科大学で看護師になるための勉強をし、卒業してから来日しました。
大学を卒業してから海外に働きにいくことはよくあるのですか?大学では日本語を勉強するのですか?
イエン:1学年に2クラス110人の学生が在籍していました。学生は全員外国語を学びます。日本語または英語で選びます。私の同級生は40人くらいが海外に働きに出ました。
イエンさんはなぜ日本で働くことを選んだのですか?
イエン:私は日本語と介護の勉強をしたくて、日本で働くことを選びました。日本の給料水準が高いことと、日本の生活が良さそう、ということも選んだ理由です。
来日する前に日本についてどんなことを知っていましたか?
イエン:富士山、桜がきれい、ということ。あと、日本人は親切で仕事に集中している、ということと、日本人は時間に厳しいことも聞いていました。だから仕事の成果もよいのだと理解しています。
日本に来る前から日本人の仕事の仕方も聞いていたのですね。実際に日本に来てからはどうですか?日本に来て一番びっくりしたことは何ですか?
イエン:地震に一番びっくりしました。ベトナムでは地震がほとんどないので。あと、雪を見たときもびっくりしました。雪はきれいで気持ちよかったです。ベトナムでは雪は降りません。
日本の好きな食べ物は何ですか?
イエン:お寿司とお刺身が好きです。
ベトナムを離れてもうすぐ2年ですね。ベトナムの食べ物が恋しくなったりしませんか?食べたいなーと思うベトナムの食べ物はありますか?
イエン:いーーっぱいあります!
日本のテレビ番組を見ますか?
イエン:施設のデイルームで入居者さんと観ることがあります。寮ではあまり見ません。スマホでベトナムの動画を見ることが多いです。
スマホがあればベトナムの情報を知ることもできますしね。仕事が休みの日は何をしていますか?
イエン:買い物と、職員寮の庭で野菜を栽培しています。
自炊しているんですね、寮ではベトナム料理を作りますか?
イエン:毎日作ります。でも調味料が足りないので、本場の味とはちょっと違います。
そうですね。本場の調味料は近所のスーパーでは手に入らないでしょうね。ベトナムが恋しいと思うことがありますか?
イエン:帰りたいと思うこともあります。特に、困り事があるときは両親と話したいです。あと、おいしいベトナム料理を見たり、考えたりしたときは特に帰りたいと思うこともあります。
日本人と仲良くなりましたか?仲良くなりたいですか?
イエン:特に職場の日本人と仲良くなりました。親切な人がたくさんいます。仕事以外で日本人と知り合うことはあまり多くありませんが、いろんな日本人と知り合いたいと思います。
日本で働いてみてどうですか?
イエン:仕事に慣れていない間は辛いことも多かったです。日本人は仕事が早くて、でも私には同じようにできなくて。私も同じようにできるように勉強しました。今は仕事にもずいぶん慣れてきたのでもう大丈夫、と感じます。
現在の研修が終わったら、何をしたいですか?日本語もお上手だし、将来の選択肢がいろいろあるのでは?
イエン:日本に滞在し続けるかもしれないし、ベトナムで日本語の先生をする、という選択肢もあるかもしれません。
看護師になるための勉強をしてから来日したイエンさん。彼女はいつも明るく話しかけてくれます。日本語も一生懸命勉強して、日本語能力試験2級に合格したそうです。らぽーる上尾での実習を頑張って、そして上尾での暮らしを楽しんで欲しいです。
ダオ ティ トゥ トゥイさん
ベトナム ハノイ出身
2019年8月来日
来日する前は何をしていましたか?
トゥイ:タンロン大学で看護師になるための勉強や実習をし、卒業してから来日しました。
なぜ日本で働くことを選びましたか?
トゥイ:日本人の勤勉さを勉強したいと思って日本で働くことを選びました。
来日する前に日本についてどんなことを知っていましたか?
トゥイ:桜、着物、日本料理のことは知っていました。あと、日本人が勤勉であることも聞いていました。
日本に来て一番びっくりしたことは?
トゥイ:地震に一番びっくりしました。イエンさんも言っていたとおり、ベトナムでは地震がほとんどないので。それから、スーパーでみんな並ぶことにも驚きました。ベトナムでは並ばないので(笑)
そうなんですね。日本人はまじめに列に並ぶイメージですね。
日本料理は来日前から知っていたとのことですが、好きな日本の食べ物は何ですか?
トゥイ:うな重、お刺身、納豆、牛丼です。それから、漬け物などの酸っぱいものが好きです。
海外から来た人の中には納豆が食べられない人もいますね。トゥイさんは大丈夫なんですね。休みの日は何をしていますか?
トゥイ:買い物と、職員寮の庭で野菜を栽培しています。買い物は週に2回くらい、まとめて買います。
ベトナム料理を作りますか?
トゥイ:作ります。豚肉をナンプラーで炒めた料理とか。
ナンプラーで炒めるとベトナム風になるんですね。やってみたいです。
ベトナムを離れてもう2年です。ベトナムが恋しいと思うことはありますか?
トゥイ:お母さんに会いたいと思うことがあります。お母さんが日本に来る予定だったのに、コロナの影響で来られなくなってしまいました。今度いつ来られるかも分かりません。お母さんは私の影響で日本語を勉強していて、私に日本語でメッセージを送ってきたりします。
お母さんに久しぶりに会えること、楽しみだったでしょう。とても残念でしたね。
日本人と仲良くなりましたか?仲良くなりたいですか?
トゥイ:特に職場の日本人と仲良くなりました。
日本で働いてみてどうですか?
トゥイ:困ったことはたくさんあります。一番大切なのは日本語です。私は日本語能力試験のN4を持っていますが、まだまだだな、と感じます。職場の指導員が教えてくれるけれど、分からないこともあります。実習で失敗することもあるけど練習して、少しずつ上手にできるようになってきたと感じます。みんなが応援してくれていると感じます。
その後、トゥイさんは日本語能力試験N3に合格したそうです。現在の研修が終わったら何をするか、まだ決めていない、と言っていたトゥイさんですが、彼女の将来の可能性が大きくなるような、選択をしてほしいと思います。
ダン ティ ワインさん
ベトナム タイビン省出身
2020年2月来日
来日する前は何をしていましたか?
ワイン:タイビン医科薬科大学の学生でした。卒業してから来日しました。
なぜ日本で働くことを選びましたか?
ワイン:私は日本語を勉強したいと思っていました。日本の文化と生活も知りたかったので、日本で働くことを選びました。
もともと日本に関心があったのですね。来日する前に日本についてどんなことを知っていましたか?
ワイン:富士山と大阪城です。
来日直後の研修を大阪で受けたからですね。
日本に来て一番びっくりしたことは?
ワイン:地震です。それから、日本はベトナムより寒いことも。
日本の好きな食べ物は何ですか?
ワイン:たこ焼きです。来日直後、らぽーる上尾に来る前に大阪で研修を受けたので、粉モノが好きになりました。
たこ焼きは大阪の郷土料理です。ワインさんもベトナムの郷土料理を食べたい、と思うこと、ありますか?
ワイン:あります。フォーを使った料理を食べたいです。
ベトナム料理を作りますか?
ワイン:焼肉とか魚料理を作ります。
日本のテレビ番組を見ますか?
ワイン:アニメを見ることがときどきあります。ドラえもんとか。
休みの日は何をしていますか?
ワイン:買い物と、寮の庭で野菜を栽培しています。春菊とかぼちゃが採れました。
日本人と仲良くなりましたか?仲良くなりたいですか?
ワイン:職場の日本人と仲良くなりました。
日本で働いてみてどうですか?
ワイン:知らないことがたくさんあって迷惑をかけることもあったけど、毎日メモをとって注意しています。成長できているな、と思います。
ベトナムが恋しいかと尋ねたら、「まだ大丈夫」と言っていたワインさん。ベトナムを離れて1年、新しいことを吸収するのに忙しいのかもしれません。職場でも日々成長を感じながら頑張っています。
ルオン ティ マイ タオさん
ベトナム フンイエン省出身
2020年2月来日
来日する前は何をしていましたか?
タオ:公衆衛生大学の学生でした。卒業してから来日しました。
タオさんの出身大学には海外からの留学生はいましたか?
タオ:私の出身大学は韓国人の学生も在籍していました。
タオさんはなぜ日本で働くことを選んだのですか?
タオ:日本語と日本の文化を勉強したくて、日本で働くことを選びました。
来日する前に日本について知っていたことは?
タオ:日本はきれい、ということです。富士山や桜も有名なので知っていました。
富士山や桜はみなさん来日前から知っていましたね。日本がきれい、と思ってくれていたのは嬉しいですね。実際に日本に来て、一番びっくりしたことは何ですか?
タオ:ここにいる全員が言っていますが、地震です。
地面が揺れるなんて、初めて経験すればそれはびっくりしますよね、「何が起こった!?」って。
タオ:私が体験した地震は震度3か4でしたが、初めてことでびっくりしました。
日本の好きな食べ物は何ですか?
タオ:カレーとお刺身です。カレーは自分でも作るし、外食することもあります。
恋しいベトナムの食べ物はありますか?
タオ:いーーっぱいあります!
休みの日は何をしていますか?
タオ:買い物と、職員寮の庭で家庭菜園をしています。
日本で働いてみてどうですか?
タオ:ベトナムと日本の文化は挨拶の仕方ひとつをとっても違うな、と感じることがあります。例えば日本では朝会ったら「おはようございます」昼また同じ人に会ったら「こんにちは」、と同じ人に一日に何度か挨拶をすることがあります。ベトナムでは朝あったら「シンチャオ」その後同じ人にまた会ったら笑顔を交わします。
ベトナムの若者は職業選択の段階で、海外で働く、という選択肢が身近にあるようです。日本はきれいな国、日本人は勤勉など良いイメージを持ってくれていることは日本人として誇らしく感じます。彼女たちが実際に日本で暮らし、働いて、私たちの社会の介護現場を支えています。そんな彼女たちが「日本や埼玉、上尾市を選んでよかった」と思ってくれたら何より嬉しいことだと思います。
実習先らぽーる上尾の職員の声
技能実習制度に介護職種が加わる以前から、外国人材の活用について検討・計画して来ました。現在は4名が施設にて実習中です。さらに2名が大阪で入国後講習を受講中、2021年2月より上尾市在住となります。
採用には、現地ベトナム(ハノイ・ダナン)へ4回ほど訪問し、看護大学を卒業した多くの若者や、日本語能力の高い候補生と面接を重ねてきました。母国では「看護師資格」を有していますから、一番「介護職に近い素養」が備わっていると判断しました。また、親日的であり、日本人にも似たところが多いので、入居者様にも親しみやすいと思いました。
技能実習指導員・生活指導員の連携で、日本(埼玉・上尾)の生活にも慣れ、実習も順調に進んでおり、評価試験にも合格できました。今では、1人1人がしっかりと素晴らしいケアサービスが提供できるまでに成長して、大きな戦力となっています。日勤、早番、遅番などを責任もって分業し、ご入居者様にとてもかわいがられています。
日本で安全に有意義な実習が出来ること、これは彼女たちの将来にとっても、大きな財産になると思います。今後もらぽーる上尾は彼女たちのサポートを続けてまいります。
井上鉄工所
機械加工メーカーの井上鉄工所(平方領々家662-1)で働く、インドネシア出身のビマさんを紹介します。
同社では2006年頃から外国人従業員を採用しています。2020年12月時点で7期目のスタッフが帰国したところです。
現在は4名の外国人従業員が勤務しており、うち3名はベトナム出身で、全員、在留資格は技術・人文知識・国際業務です。1名は今回紹介するビマさんで、在留資格は「特定技能」です。
在留資格「特定技能」とは
深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるために新たに設けられた在留資格です。2019年4月1日より人手不足が深刻な産業分野において「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能となりました。
ビマ アジ ヌグロホさん
インドネシア クラテン出身
作業中のビマさん
来日する前に日本についてどんなことを知っていましたか?
ビマ:日本のアニメを知っていました。ワンピース、NARUTO、BORUTO、君の名は。などです。それから日本は桜や雪が降ることも聞いていました。日本はきれいな国ということもです。
やはり日本のアニメはインドネシアでも有名なんですね。ところでビマさんはなぜ日本で働くことを選んだのですか?
ビマ:技術を身に付けるためです。家族と友だちからも「日本がいい」と勧められました。
日本に来てびっくりしたことは?
ビマ:みんなルールを守ることです。赤信号でちゃんと止まる。インドネシアでは赤信号でも止まらない人もたくさんいます。それから、日本は時間に厳しいですね。そして、寒い。
休みの日は何をしていますか?
ビマ:ゲームをします。それから会社の人とご飯を食べに行ったり、ゲームセンターに行ったりします。
休みの日にも会社の同僚と遊ぶのですね。良い関係を築かれているようですね。
インドネシアの家族や友達とは連絡をしていますか?
ビマ:はい、FacebookやLINEで連絡を取り合っています。
好きな日本の食べ物は?
ビマ:カレーが好きです。CoCo壱番屋で食べるのが好きです。インドネシアのカレーの方が辛いです。
そうですね、日本のカレーは日本人の好みに合わせて辛すぎないものにしていますからね。ビマさんは料理は作りますか?
ビマ:得意じゃないのであまり作りません。平日はお弁当を買って、休みの日はインスタントのものを食べることが多いです。
日本で働いて、どうですか?
ビマ:みんな優しいです。仕事のこと、生活のことをいろいろ教えてくれます。そして日本の技術レベルは高いです。インドネシアでも溶接の仕事をやったことがあるけれど、日本の方がレベルが高いです。今、会社にはインドネシア出身は私ひとりです。母国語で話し相手になる人がいないので、日本語で意思疎通できることがとても大事です。
インドネシアに帰りたいと思いますか?
ビマ:実は、今年インドネシアに帰って結婚式を挙げる予定でした。でもコロナのせいで延期になってしまいました。6月には帰って結婚式を挙げたいです。
技術を磨くために日本で働くことを選んだ、というビマさん。一度目は技能実習生として、二度目は特定技能の従業員として井上鉄工所をキャリア形成の場に選びました。今では一人で段取りから任されていて、今後技術者として大きく成長していくことが期待されます。コロナが収まってインドネシアとの行き来ができるようになったら、無事に結婚式を挙げることができますように!