12月15日、コミュニティセンターで、マリンバデュオコンサートが行われました。これは、上尾市在住のマリンバ奏者、小針彩菜さんと大学時代からの親友である小西沙帆さんの2人だけの演奏で繰り広げられたコンサートです。今年9月24から29日に開催された、第17回イタリア国際打楽器コンクールC部門で優勝した小針さんにとって、凱旋公演となったこのコンサートに、満員の会場からは大きな拍手が送られました。
学生時代から、打楽器奏者としてお互いの事を認め合っていた2人。小針さんは「小西さんでなくては、このコンサートは成り立たなかった。」と話し、小西さんは「小針さんは、まず演奏が上手い。周りを活かす演奏もできるし、引っ張っていくこともできる。」と語ります。
コンサートは、1台のマリンバを2人で演奏する「2+1(two plus one)」から始まりました。3曲目の「Octabones」は、マリンバを横に2台並べるのではなく、向かい合わせにして演奏します。途中、お互いが自分のマリンバと相手のマリンバを同時に演奏する部分があり、2人は全身を大きく使いながら、難曲を演奏していました。演奏を終えた小針さんが、次の曲紹介を行う時に、息を切らせてしまう一幕もあり、この曲を演奏することが大変であることを物語っていました。
5曲目の小針さんのオリジナル曲「夕日の沈む瞬間(とき)」の演奏は、小針さんの曲への想いをしたためた手紙を、小西さんが朗読してから始まりました。オレンジ色のスポットライトの中、1日の終わりのもの寂しい風景を情緒豊かに再現しました。第1部の最後の曲は、小針さんが冒頭の第17回イタリア国際打楽器コンクールC部門のグランドファイナルで演奏した「Marimba Spiritual」です。コンクールでは、小針さんのアンサンブル力が高く評価されたと曲紹介があり、本来は和太鼓3人の伴奏のところを、小西さんが1人で演奏し、途中「よっ!」という掛け声も2人で息を合わせながら、どんどん盛り上がっていく演奏で会場を盛り上げ、第1部が終わりました。
休憩後の第2部は、小西さんがデジタル録音した伴奏に合わせる曲「Rimbasly」のソロ演奏からスタートしました。次の「African Blues」の演奏前には、「アフリカを起源とする打楽器は、その昔、会話に使われていた。」というナレーションに続き、2人が観客席から登場。お客さんにも、打楽器での音のやり取りを体験してもらいながら会場を練り歩いた後、ステージに登壇し、演奏が始まりました。続くクラシックメドレーでは、オーケストラの幾重にも重なったサウンドを2人だけで表現するために、マリンバだけでなく鉄琴も複数台並べ、2人がステージ上を所狭しと駆け回りながら、演奏していました。最後の曲「Tango Suite」では、ギターのスラム奏法を表現するためにステージの床も使って演奏するなど、小針さんが学生時代から大切にしていたという「曲に込められた作曲者の想いをいかに表現するか」という工夫が見えました。
2人の熱演に満員の会場からは拍手が鳴りやまず、2人はアンコールに応えてくれました。アンコールのクリスマスメドレーでは、途中「きよしこの夜」を会場の全員で合唱。2人は舞台袖に消えていきました…。と思わせて、改めて駆け足でステージに戻ると、最後の最後で「熊蜂の飛行」を演奏、終演となりました。
来年、4月29日(水曜日・祝日)には、2人が中心となり企画されたファミリーコンサートが、同じコミュニティセンターで開催されるようです。皆さんも世界一のデュオの演奏を聴きに出掛けられてはいかがでしょうか。なお、当日の演奏曲は以下のとおりです。
【第1部】
1. 2+1:Ivan Trevino
2. Book of Days:Enya
3. Octabones:Adi Morag
4. Catching Shadows:Ivan Trevino
5. 夕日の沈む瞬間(とき):小針彩菜
6. Marimba Spiritual:三木稔
−休憩−
【第2部】
7. Rimbasly:Daniel McCarthy
8. African Blues:Wolfgang Roggenkamp
9. クラシックメドレー
展覧会の絵:M.P.Mussorgsky
仮面舞踏会:A.I.Khachaturian
道化師のギャロップ:D.B.Kabalevsky
剣の舞:A.I.Khachaturian
10. Tango Suite:Astor Piazzolla
−アンコール1−
11. クリスマスソングメドレー
−アンコール2−
12. 熊蜂の飛行:Rimsky Korsakov